上顎臼歯部のインプラント
症例(1)
サイナスリフトとは
上の奥歯の上方には、上顎洞という空洞が存在していますが、歯周病などで骨が失われたり、上顎洞そのものが拡大したりすることによって、インプラントを埋め込むのに必要な骨がなくなってしまうことがあります。そんな時に効果的なのがサイナスリフトです。
サイナスリフトは、上顎洞の横の歯茎をめくって上顎洞を露出させ、明視下で上顎洞の底の部分を持ち上げ、骨補填材を入れて骨を作り、インプラントを埋め込めるようにする方法です。
ソケットリフトとは
上の奥歯の骨を作る方法としてもう一つ、ソケットリフトという方法があります。こちらは、インプラントを埋め込む穴から少しずつ上顎洞の底を押し上げ、そこに骨補填材を入れます。
サイナスリフトを選ぶ理由
世界的な名医や大学病院ではソケットリフトでは無く、サイナスリフトを行なっています。これには以下の様な理由があります。
安全性が高い
サイナスリフトはソケットリフトよりも上顎洞炎を起こしにくいことがわかっています。
長いインプラントを入れられる
サイナスリフトはソケットリフトに比べて大量の骨を作れるので、より長いインプラントが入れられ、長期的な安定が得られます。
明視下で行える
ソケットリフトは、インプラントを埋める穴から行うため、手術部位を見ることができず、上顎洞の底にあるシュナイダー膜が破れても分かりません。サイナスリフトは、実際に上顎洞の底の部分を見ながら手術が行えるため、シュナイダー膜が破れても適切に対応することができます。
患者さんにとって楽
サイナスリフトはソケットリフトに比べて手術範囲が広いので、大変な手術に思われることがありますが、術者の技術が優れている場合、手術はソケットリフトよりも早く終了し、患者さんにとっても楽です。
骨とインプラントが強固に結合
サイナスリフトは先に骨を作り、半年ほど待ってからインプラントを埋め込みますが、ソケットリフトの場合はインプラントと同時に骨補填材を入れます。インプラント表面に骨補填材を置いた場合、その部分の骨とインプラントの結合は弱く質が悪いことが最近の研究で分かっています。
サイナスリフトのように骨がしっかりできてから埋めるほうが確実にインプラントと骨の結合がしっかりと起こります。
治療期間 | 6か月 (サイナスリフトのみ) |
費用 | サイナスリフト 片側 33万円 (税込) |
- リスク・副作用
- 術後の出血、数日間の腫れ、疼痛、内出血によるアザが出る可能性
- 外科的治療によるリスク
- 十分なメンテナンスを行わなければ失敗やトラブルを招く可能性
- 上顎洞粘膜(シュナイダー膜)の剥離挙上時の破損
- 上顎洞炎