インプラントとオールオン4の違いとは?それぞれの特徴を解説
オールオン4はあくまでもインプラントの治療方法の一種であり、難症例に対応するひとつの手段として確立しました。
本記事では、インプラントとオールオン4の違いについて解説します。
それぞれの特徴を知り、自分にとって最適な治療法はどちらか検討していきましょう。
インプラントとは
インプラントとは、顎の骨に歯根の代わりとなるインプラント体を埋め込み、その上に上部構造(義歯)を装着する治療法です。
入れ歯のようにフックや偽の歯茎を作る必要がなく、天然歯と同じ感覚で使えるのが最大のメリットとして注目されるようになりました。
また、ブリッジ(天然歯と天然歯に橋をかけるようにして装着する義歯)と違って、
隣り合う天然歯を削る必要もなく、食べカスや歯垢が隙間に挟まりにくいのもメリットです。
インプラントが向いている人
インプラントが向いている人は、下記の通りです。
・作成する義歯の本数(歯が抜けている箇所)が少ない人
・天然歯の状態がよく、まだまだ使えそうな人
・顎の骨に十分な厚みと強度がある人
違和感なく天然歯のような義歯を探している人は、まずインプラント治療を検討してみましょう。
その後、作成したい義歯の本数(歯が向けている箇所)や今ある天然歯の状態次第で、
通常のインプラントにするかオールオン4にするか検討するのがおすすめです。
インプラント以外にも義歯の選択肢は多いですが、インプラントは特に機能面と審美性の良さを求める人におすすめです。
オールオン4とは
オールオン4は、インプラント治療の一種です。
片側の顎に最小4本のインプラント体を埋め込む方法であり、その上に全体的に噛めるような固定性の義歯を装着します。
歯が抜けているところに義歯を入れる場合、通常であれば歯1本あたりに対して1つのインプラント体を埋入しなくてはなりません。
ただし、10本歯が抜けていて全てをインプラントにしたいときは10本のインプラント体を埋入しなくてはならず、身体的にも金銭的にも負担が大きいです。
歯がない箇所が多いときにオールオン4を選択すれば、本来10本のインプラント体が必要だったところを最小で4本まで抑えられ、負担を軽減できます。
オールオン4が向いている人
オールオン4が向いている人は、下記の通りです。
・作成する義歯の本数(歯が抜けている箇所)が多い人
・天然歯の状態が悪く、思い切って抜歯しながら総義歯にしたい人
・顎の骨が薄くてインプラント治療を諦めていた人
・重度の虫歯や歯周病に罹患していて歯がボロボロな人
インプラント治療を決めた人のなかでも、特に治療箇所の多い人がオールオン4向きです。
天然歯がほとんどない(または状態が悪い)場合、選択肢はほぼオールオン4か総入れ歯かに限定されてしまいます。
今後加齢とともに更に天然歯の状態が悪くなっていくだろうと予測できるのであれば、早い段階でオールオン4を選択し、顎の骨や咀嚼力を鍛える方法も効果的です。
インプラントとオールオン4の違い
ここでは、インプラントとオールオン4の違いを項目別に解説します。
対象としている人
インプラントは1本単位で義歯を作成できる治療法であり、若い人から高齢者まで幅広く導入されています。
一方、オールオン4は総入れ歯をしている人など、失っている歯が多い人を対象としている点に注意しましょう。
オールオン4を選択するときは全体の機能や審美性を優先することが多く、
一部のまだ残せる歯も戦略的に抜歯し、将来の不確実性を排除することが多いです。
「総入れ歯」ならぬ「総インプラント」にする方法がオールオン4であり、天然歯が多く状態の良い人があえてオールオン4を選択する必要はありません。
身体的な負担の少なさ
通常のインプラントをたくさん埋入する場合、その分切開する部分も増えるので身体的な負担が大きくなります。
手術時間が長いこと、切開する場所が多いからこそ術後の痛みや腫れも大きくなりやすいことがデメリットと言えるでしょう。
そのため、インプラントは最小限の範囲だけインプラント治療したい人向けの手法であり、
場合によっては段階的にインプラント体を埋入していくこともあります。
オールオン4は最小4本のインプラント体埋入だけで済むため、切開する場所も最小限に抑えられます。
術後の消耗が少ないため人によっては手術当日に仮歯の装着までできるケースがあり、タイムロスもありません。
費用的な負担の少なさ
通常のインプラントで大量の義歯を作る場合、使う素材の量も手術時間も増えるため費用もかかってしまいます。
「1本のインプラント作成に必要な金額×必要な本数分」のお金がかかってしまい、
かつインプラント治療に健康保険は適用されないため、想像以上の額になってしまうこともあります。
事前に見積りを出してもらえるので治療完了後に高額を提示されることはありませんが、いずれにしても金銭的な負担が大きい事実は変わりません。
オールオン4であれば最小限のインプラント体埋入だけで完了するため、義歯の本数が多くても費用負担を軽減できます。
総入れ歯等に比べれば費用はかかりますが、1本ずつインプラントにしていくよりトータルコストを安くできるのがメリットです。
今ある歯を無理に残さず、最終的に長く使える義歯にすることを優先するのであれば、オールオン4はおすすめの選択肢となります。
審美性の違い
一部だけをインプラントにする場合、既存の歯並びや歯肉の状態を尊重しながら義歯を入れていくため、審美性に影響します。
「もともとの歯並びが悪い」「歯茎の並びがガタついていて歯の長さが違って見える」という場合、
美しい義歯を入れたからといって歯全体の印象が改善するとは限りません。
インプラント自体は非常に審美性に優れているため1本単位で見ると綺麗ですが、
歯の印象は歯全体の姿や歯並びで決まるので、インプラントにしたからといって審美性を根本から解決するのは難しいのです。
一方、オールオン4であれば治療を制限する既存物がなく、審美的な制限もありません。
天然歯をほぼ抜歯してオールオン4にすれば歯並びも調整でき、全体的な印象を改善します。
もちろん、オールオン4をしない方の片顎にフィットするよう噛み合わせを調整したり、義歯の色味を違和感のない程度に調整したりすることも可能です。
左右均等な歯並び・歯茎を作って健康的な印象にしたいときこそ、オールオン4が最適です。
お手入れの楽さ
インプラント体の埋入本数が多くなればなるほど、お手入れの手間も定期健診の頻度も上がります。
万が一インプラント周囲炎に罹ったときのリスクが大きいので、ホームメンテナンスも欠かせません。
また、病気を早期発見・早期治療するため通院によるメンテナンスの頻度も上がり、
仕事や家事・育児に忙しい人にとっては煩わしく感じられることもあるでしょう。
オールオン4の場合、清掃する本数が少ないので管理を楽にしやすく、清潔状態も続きます。
もちろんオールオン4でも定期健診によるメンテナンスが必要ですが、頻度や一度の通院でかかる時間も短めになります。
歯にかかる手間を今後短くしたい人にも、オールオン4が向いています。
まとめ
オールオン4も通常のインプラントも「インプラント治療である」という点では同じですが、対象としている人が異なります。
総入れ歯を使用している人(検討している人)であれば、通常のインプラントよりオールオン4の方が良いケースがあるので歯科医院に相談してみましょう。
当院でもオールオン4の治療が可能なので、迷っている方はお気軽にご相談ください。