インプラントやオールオン4をしてから寝たきりになっても大丈夫?
健康な口腔環境は食事の咀嚼や発音によるコミュニケーションにも影響するので、高齢者向けの口腔ケアや口腔トレーニングにも注目が集まるようになりました。
しかし、今からインプラントやオールオン4を検討している人にとって、「今後寝たきりになったときケアができるか」という心配が新たに生まれます。
インプラントは定期的なメンテナンスが必要な治療法だからこそ、自発的に歯科医院に通えなくなってからのことを心配する人が多いのです。
今回は、インプラントやオールオン4をしてから寝たきりになっても大丈夫なのか解説します。
目先のメリットだけでなく将来的なリスクも踏まえて、治療法を確立していきましょう。
インプラントやオールオン4が寝たきりになって以降に与えるメリット
結論からお伝えすると、インプラントやオールオン4後に寝たきりになっても問題ありません。
メンテナンスが必要なのは寝たきりでもそうでなくても同じなので、むしろ咀嚼力向上などを視野に入れて早めにインプラント治療へ踏み切る高齢者も多いです。
下記では、インプラントやオールオン4が寝たきりになって以降に与えるメリットを解説します。
食事の咀嚼がしやすい
寝たきりでも口から食事ができる場合、しっかり噛んでゆっくり飲み込むことが重要です。
十分な咀嚼ができないと食べ物がまだ大きい状態のままで丸飲みになりやすく、唾液の分泌量が少なくなる高齢期には誤嚥や胃腸バランスの乱れの原因となってしまいます。
事前にインプラントやオールオン4をして噛み合わせを調整しておけば、「噛みやすい」「一度の咀嚼でしっかり食事を細かくできる」などのメリットが現れます。
結果、食事を十分に消化できるなど全身の健康につながる他、誤嚥性肺炎などのリスク低減にもつながります。
気兼ねなく会話できる
インプラントやオールオン4で噛み合わせをよくしておけば、寝たきりになってからも発声しやすくなります。
一見何気ないことのように思われるかもしれませんが、寝たきりで体の自由が利かなくなった人にとって、家族や介助者との会話は大きな刺激となります。
そんなとき「滑舌が悪くて何を言っているのかわからない」「伝えたいことがあるのに正しく伝わらない」となっては
会話する元気が失われてしまい、すっかり気力が削がれてしまうこともあるので注意しましょう。
噛み合わせがよければ発声がしやすく、自分の意思を明確に伝えることが可能です。
認知症の予防になる
良い噛み合わせでしっかり食事を咀嚼すること、身近な人と今まで通りフラットなコミュニケーションをすることは、認知症予防にも効果的です。
ものをしっかり噛むことができれば脳への血流量が増えるので、神経活動が活発化します。
反対に、流動食がメインだからと咀嚼しない日々が続くと、脳へ与える刺激も少なくあります。
同様に会話によるコミュニケーションも脳に刺激を与え、ストレス軽減効果も発揮されるので注目しておきましょう。
家族の負担が減る
インプラントやオールオン4は通常の歯と同じくしっかり代理歯根がついているため、入れ歯のように定期的に取り外して洗浄する必要がありません。
また、部分入れ歯のようにズレてしまうこともなく、確かな定着力を誇ります。
歯ブラシや歯間ブラシ等も使いやすいので、ケアする側である家族の負担が減るのもひとつのメリットです。
インプラントやオールオン4後に寝たきりになるリスク
インプラントやオールオン4後に寝たきりになること自体に問題はありませんが、本人の体調や介護状態によってはリスクが生じます。
下記で主なリスクについて触れるので、チェックしておきましょう。
定期メンテナンスに通うのが難しくなる
インプラントやオールオン4が完了した後も、経過観察とクリーニングをするため定期的に歯科医院に通うのが理想です。
しかし寝たきりのまま歯科医院に通うことは難しく、「メンテナンスしないまま放置」「自宅ケアだけに留まってしまう」ということが起こり得ます。
自分でできる範囲でのケアや家族によるケアに頼る方法もありますが、どうしても歯科医院のような専門的なメンテナンスはできないので注意しましょう。
最悪の場合、歯垢や歯石でいっぱいになったりインプラント周囲炎にかかったりすることもあります。
定期メンテナンスしてもらう場合でも費用がかかる
寝たきりのインプラント患者様を診療するためベッドでの通院や往診に対応している歯科医師もいますが、決して数は多くありません。
都心部でも数が少ないため、地方ではさらに選択肢が限られてくるか、または対応してくれる歯科医院(または医師)がゼロということも考えられます。
もし依頼先が見つかったとしても通常の診察より費用が高くなってしまい、継続的な受診につながらないことも多いです。
治療後に寝たきりになったとき気を付けるべきこと
最後に、インプラントやオールオン4治療後に寝たきりになったとき、気を付けるべきことを解説します。
「寝たきりになってから一気に歯が悪くなった」ということを防ぐためにも、下記を意識してみましょう。
訪問診療をしている歯科医院を選ぶ
事前に訪問診療をしている歯科医院を選んでおくことにより、定期的なメンテナンスが受けられるようになります。
訪問介護などを検討するときも、口腔衛生にどれくらい気を配ってくれるか意識してみるとよいでしょう。
老人ホーム等では提携の歯科医師がいたりスタッフによる口腔ケアがおこなわれたりするので、提携医師がインプラントのメンテナンスに対応しているか、
メンテナンスの頻度がどのくらいなのかチェックしておくのもおすすめです。
日々のメンテナンス法を学んでおく
立ったり歩いたりができなくても、手が自由になるのであれば日々のメンテナンス法を学んでなるべく自分で口腔ケアするのが理想です。
どこの磨き残しが発生しやすいかなど、個別の傾向も指導してもらえれば歯に対する意識も変わります。
本人がほとんど動けない場合、家族がメンテナンス法を学んでおくのも効果的です。
なるべく負担なく、それでも確実にリスクを低減できるような施策があれば、積極的に学んでおきましょう。
インプラント情報をしっかり管理しておく
可能な限り、寝たきりになる前から家族と健康について話し合っておくのがおすすめです。
特に、「インプラントやオールオン4をしていたことを家族が知らなかった」「かかりつけの歯科医師がどこかわからない」ということも起こり得ます。
普段一緒に過ごす時間が短かった家族であれば、歯以外のことについても情報共有できていないことが多いでしょう。
インプラント情報をしっかり家族が管理しておくだけでも、再治療やメンテナンス時の相談がしやすくなります。
まとめ
寝たきりになってからの口腔ケアは、誰にとっても大きな課題となります。
インプラントやオールオン4は入れ歯等と比べてメンテナンスしやすく、家族の負担を軽減できるのがメリットです。
スムーズな発声によるコミュニケーションや良い噛み合わせによる咀嚼力向上の効果も期待できるので、
体力のあるうちにインプラントやオールオン4を検討してもよいでしょう。