インプラント専門医は何人いる?技術の高い医師を見つける方法
インプラント治療はハイレベルな技術を要する治療法であるため、できれば専門資格を持ち経験豊富な歯科医師に担当してほしいと思う方も多いでしょう。
とはいえインプラント治療に対応しているクリニックは多く、選択肢の多さに悩んでいるうちにどんどん症状が進行してしまうケースも少なくありません。
クリニック選びに困ったときは、インプラント専門医のいるクリニックを頼るのがおすすめです。
今回は、インプラント専門医の概要や認定医師の人数について解説します。
インプラント専門医とは
インプラント専門医は「インプラント認定医」と呼ばれることもある歯科医師であり、
インプラント治療に関する深い知見と十分な経験があると認定された歯科医師だけが名乗ることのできる名称です。
具体的には「社団法人日本口腔インプラント学会」の資格認定を受けた歯科医師のことを指します。
ただ経験が問われるだけでなく、最新技術に関する知見があるか、常時知識と技術を研鑽しているかが問われるので、
インプラント治療できる歯科医師の全員が取得できるとは限りません。始めからインプラント治療をするつもりがあり、
かつクリニック選びに迷っている場合は、インプラント専門医のいるクリニックへ相談するのが近道です。
インプラント専門医の人数は?
インプラント治療できるクリニックの数は非常に多い一方で、
インプラント専門医に認定された歯科医師の数は意外にも少ないのが現状です。
日本口腔インプラント学会が認定した専門医の数は全国で約1,300名、指導医は約230名といわれています。
また、顎顔面インプラント学会による認定を受けた専門医の数は72名、指導医は215名です。
歯科クリニックの数は2021年段階で全国に6万7,899件(※厚生労働省「医療施設調査」より)なので、
比較してみると明らかにインプラント専門医の数が少ないことがわかります。
もし自宅や職場から通いやすいエリアにインプラント専門医のいるクリニックがあれば貴重な存在なので、チェックしておきましょう。
インプラント専門医のいるクリニックで治療を受けるメリット
下記では、インプラント専門医のいるクリニックで治療を受けるメリットを解説します。
質の高い治療とカウンセリングを希望している方は、参考にしてください。
インプラント治療に関する最新情報を持っている
インプラント専門医認定の有効期限は5年間であり、
更新を希望する場合は社団法人日本口腔インプラント学会での研究・治療内容の発表・論文投稿・研修への参加が求められます。
そのため、長年インプラント専門医を名乗れている歯科医師は常に知識の研鑽を求められているため、
その分インプラント治療に関する最新情報を持っています。
日本だけでなく世界の症例を見ながら研究したり、
最先端のツールやトレンドに関するニュースをキャッチアップしていたりする可能性が高く、
それが治療の現場にも反映されているかもしれません。
実際に、インプラント技術は年々進化し続けており、新たなインプラントメーカーや治療ツールがどんどん出てきます。
自分に合った最適な治療法を提案してほしいという方こそ、インプラント専門医を頼ってみましょう。
成功事例も失敗事例も幅広くリサーチしている
インプラント治療に関する最新情報を持っているということは、成功事例も失敗事例も幅広くリサーチしていることにもつながります。
自分の経験だけでなく世界中の幅広い症例をチェックしているため、難症例への対応もしやすくなるでしょう。
また、失敗事例を参考にしながらリスク防止策を考案できるので、インプラント治療のデメリットや手術当日が心配な方でも安心できるかもしれません。
最新ツールの導入に積極的なケースが多い
インプラント専門医は、世界で開発されている歯科治療用の最新ツールの導入に積極的です。
例えば、インプラント治療のできるクリニックの全てがインプラントシミュレーションソフトを導入しているとは限りません。
インプラントシミュレーションソフトは、
どの位置にどの程度の深さでインプラント体を埋入したときに完成形がどうなるかを立体映像で作成できるソフトウェアであり、
理想的な治療法の確立に貢献しています。
シミュレーションソフト上であれば患者様が納得できるまで何度も治療をやり直せるので、
大きなミスや失敗を防ぐ効果もあります。
歯科医師の経験と勘に最先端技術を加えることで、より精密かつスピーディーな治療ができるようになっているので、
まずはクリニックごとの機材を比較してみるのもよいでしょう。
その他、シミュレーションソフト通りにインプラントを埋め込めるサージカルガイドや
無菌手術室などの設備を導入しているクリニックもあります。
豊富なインプラントメーカーを扱っている可能性が高い
インプラント専門医のいるクリニックでは、
最新ツールやソフトウェアだけでなく扱うインプラントメーカーや素材の数が豊富な可能性も高いでしょう。
世界トップレベルの導入実績を持つ大手インプラントメーカーから、安価かつ新しいインプラントメーカーまで、
幅広くリサーチしながら定期的に入れ替えていることもあります。
審美性の高い素材選びに妥協せず付き合ってくれたり、
他クリニックにはないメーカーを選択肢に加えられたりするのもメリットです。
実績も施術経験も豊富
インプラント専門医に認定されるには、下記の条件を満たす必要があります。
・社団法人日本口腔インプラント学会の会員を5年以上継続していること
・社団法人日本口腔インプラント学会の研修施設に通算5年以上在籍しており、
かつインプラント治療に必要な診断と治療の基本的な技術を習得する講習・研修を受けていること
・日本歯科医師会会員であること
・日本歯科医師会がおこなう専門医教育講座を3回以上受講していること
・日本歯科医師会の学術大会に8回以上参加していること
・日本歯科医師会の定めた研修を修了していること。
・口腔インプラント指導医2名(内1名は施設長)の推薦が得られること
・治療が終わりメインテナンスへ移行して3年以上経過した症例を、20症例以上経験していること。
(1顎1症例とし、上下顎にインプラントを埋入した症例では、2症例とみなす。)
なお、症例には、多数歯欠損(1顎7歯以上欠損)症例で全顎にわたる症例を3症例以上含んでいること。
・社団法人日本口腔インプラント学会がおこなうケースプレゼンテーション試験
(治療が終わりメインテナンスへ移行して3年以上経過した1症例を発表)に合格していること
・社団法人日本口腔インプラント学会の学術大会において、2回以上発表をおこなっていること
・口腔インプラントに関する論文を委員会が認める雑誌に1編以上発表していること
20の症例を提示したうえで口頭試問試験や筆記試験を突破しなくてはならず、難易度は高い条件です。
つまり、知識だけでなく技術力や施術経験も求められていることがわかります。
経験や実績のある歯科医院にお願いしたいときにこそ、インプラント専門医の有無をチェックしてみましょう。
難症例でも治療してもらいやすい
「骨が少なくて他のクリニックではインプラント治療できないと断られた」
「歯がボロボロでかなり多くのインプラントを埋入しなくてはならず、負担が大きそうで悩んでいる」
という方でも、インプラント専門医のいるクリニックであれば対応してもらえるかもしれません。
例えば骨不足で悩んでいる方の場合、骨造成治療を経て強度や厚みを増やせればインプラント治療できるケースがあります。
また、歯がボロボロでほとんど天然歯がなくなってしまう場合でも、
オールオン4などの選択肢が取れれば、最小限の負担できれいな歯を手に入れることができます。
ただし、骨造成治療もオールオン4も、インプラント治療できる全てのクリニックで対応しているわけではありません。
前述の通り、症状次第では治療できないと判断されてしまうケースがあるので注意しましょう。
困ったときはインプラント専門医に相談し、本当に治療の選択肢がないか相談しておくのもおすすめです。
まとめ
インプラント専門医は、インプラント治療に関する知見・技術・経験が揃っている歯科医師のみ名乗れる称号です。
クリニック選びに困ったときはインプラント専門医の有無をチェックし、治療クオリティを優先してみてはいかがでしょうか。